初夏

高原にさわやかな風が吹き渡り、シラカンバも芽を吹き始めました。

幹は一層その白さを増したようです。

高天ヶ原や一の瀬湿原に白い綿帽子のような細かい花のかたまりをつけた コバイケイソウ が咲出すのもこの時期です。

この花より少し大ぶりのバイケイソウはもう少し後になってからですが、両方共背の高い人目につく花です。

ダケカンバの芽吹きがタラノ芽、ワラビ、フキ、竹の子等の豊富な山菜採りの 季節の到来を知らせます。

この頃になると散歩の度に様々の花達に会えます。

シロバナエンレイソウ、サンカヨウ、ツバメオモト、ミヤマカタバミ、ツマトリソウ等の白い花々、ツクバネソウ、 クルマバツクバネソウ 、エンレイソウ等の地味ながら品格にある花達が木陰にひっそり咲き、 ネマガリタケの根本にイチヨウラン、ショウキラン、ササバギンランなどが身を隠すようにして、 一名ユウレイタケともいわれる ギンリョウソウ も湿った暗い林下に、三、四本まとまって顔をだします。

陽差しが更に強まるにつれオオヤマザクラの淡紅色が萌えだした木々の若葉に映え、そこに谷筋 に残る雪の白さが加わってまるで一服の名画を見る心地がします。

周囲が緑に包まれ、様々な色の花が咲き乱れ華やかな季節になりました。
ムラサキヤシオツツジ、トウゴクミツバツツジ、レンゲツツジ、白さを増したオオカメノキの花などが街道沿いの眺めを 賑わし、エゾハルゼミが爽やかな初夏の喜びを伝えてくれます。

刺されると非常に痛痒くはれる、土地の人がショッカとよぶ蚊を食べてくれるトンボの飛来が 待たれる季節になりました。

日本海で羽化しアキアカネとして朱に染まるまで高原で避暑をし、 秋になると再び産卵の為に生まれた場所に戻って行きます。

小雑魚川沿いに同じ方角を目指して登ってくる群れは壮観で、歩いていてぶつかるのではないかと心配になる程です。

カヤノ平方面に ミツガシワサイハイランクリンソウキヌガサソウ を訪ねるのもこの時期です。

どの花も湿地を好み、しかも人目にふれない場所に咲きます。

カヤノ平にはキャンパーの声が響き渡り、北ドブ湿原を トキソウニッコウキスゲ が華やかに彩るのも間もなくでしょう。

一の瀬湿原に ミズチドリ を、遊歩道わきに アズマハンショウヅル を見つけるのもこの頃です。

奥志賀林道の蓮池近くの崖の上にオオヤマレンゲが白の気品溢れる大輪を咲かせ、一の瀬湿原では オオタカネバラが優雅で華やかな命を一瞬にしてハラリと燃えつきさせます。

岩菅登山への取り付きに当たる上条堰に沿って清楚なニリンソウの群れやコケイラン、ミヤマカラマツ、 モミジカラマツ、マイヅルソウ、ゴゼンタチバナ、オニシモツケ等の主に小粒の白い花々が咲き、 清流と共に登山の疲れを癒してくれます。

赤石岳の仙人池を白い ヒメカイウ が埋めます。ここはこの花の南限です。


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